› 公園とか緑とか › 杣人 › ナラ枯れ

2010年10月26日

ナラ枯れ

ナラ枯れ
 ナラなどブナ科の木が枯れる「ナラ枯れ」が浜松市でも発生している。県の調査によると、8月下旬、天竜区水窪町の山林でコナラ4本。9月に東区の浜松医科大の構内で2本確認。「ナラ枯れ」は、甲虫のカシノナガキクイムシが運ぶ細菌に感染することで発生。浜北区や北区でも虫が穴を開けた木が多数見つかったという。

 クヌギやアベマキも危ない!?


『出かけよう!北遠へ-ふるさと散歩道』
・2010年10月20日 (水)
 「浜松で「ナラ枯れ」確認 県内初被害、拡大の恐れも」

・2010年10月22日 (金)
 「県で『ナラ枯れ』被害、初確認 カシナガ虫媒介の菌が原因」


『農業情報研究所:全国ナラ枯れ情報』

http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/forest/naragereinfo.htm

中日新聞 2010年7月31日 転載
【環境を考える】
森が死んでゆく 里山放棄で「ナラ枯れ」猛威

ナラ枯れ ナラなどの広葉樹が集団枯死して山が荒れる「ナラ枯れ」が、全国の森で猛威を振るっている。原因虫である体長数ミリの甲虫カシノナガキクイムシ(カシナガ)はもともと日本にいる在来種。江戸時代以前から被害はあったが、局地的にとどまっていた。近年の爆発的な被害拡大の裏には、里山を「一斉放棄」した人間が、動植物界に混乱をもたらしたという事情がある。
  「この辺りはかつて、高木と低木、草が階層をつくる豊かな森林でした」。案内する岐阜県森林研究所の大橋章博研究員は、立木が少なく太陽光が差し込み、土砂がむき出しになった斜面を指した。
 岐阜県池田町の池田山山ろく。一帯にはもともとミズナラやコナラなどの広葉樹がうっそうと茂っていたが、2003年にカシナガが侵入して以降は環境が一変。樹齢数10年の巨木が2~3年で一斉に枯れた。追い打ちをかけるようにシカが若い木々の若芽を食べ尽くし、山のところどころに枯れ木と土砂に覆われた空白地ができた。
 池田山をはじめ日本の大部分の森林は、昭和30年ごろまでは人々の生活と密接に結びついた里山だった。まきや炭、シイタケのほだ木として利用するため植えられていたナラ類には、15~30年で順序よく伐採されるサイクルがあった。
 しかし、その後の燃料革命で需要は低下。木を切る人はいなくなり、里山はほったらかしに。ナラ類は、幹が太くしわが入る老木になると、カシナガが取り付きやすくなる。同様の事情で各地の山々の木が一斉に高齢化したため、被害が急拡大したとみられている。
 同県美濃市の樹木医川尻秀樹さん(51)は「日本の動植物は長い時間をかけ、人間と共存する生活スタイルを築き上げてきた。人の手が入らなくなったことで、絶滅の危機にひんしている樹種もある。カシナガは環境のひずみに合わせて数が増えたにすぎない」と指摘する。
 池田山周辺ではナラ枯れが深刻化した06年秋、ツキノワグマの人里への出没が相次ぎ、住民を驚かせた。ナラの実(ドングリ)の不作が原因とみられ、ふもとでは3頭が射殺された。
 全国的なドングリの不作年で、池田山ではさらにナラ枯れの影響が加わったらしい。
 当時岐阜県内のクマの生態を調べていた北海道大大学院(札幌市)獣医学研究科の坪田敏男教授(49)は「ナラ枯れが広がった地域とクマの生息域は重なる部分が多い。突然エサがなくなり、相当なパニック状態に陥ったと考えられる」と話す。この年は全国で平年の4倍にあたる約4500頭が捕殺された。
 岐阜県森林研究所では、ビニールシートで幹を被覆したり、天敵の微生物を使って駆除する技術を開発しているが、ナラ枯れへの根本的な対策法は確立していない。対応に苦慮して、農薬を散布した自治体もあるが、関係ない虫や菌まで死滅させてしまい、森の生態系に壊滅的打撃を与える恐れが指摘される。
 カシナガの被害にあった木には、シイタケ菌が育ちやすいという研究結果もある。樹木医の川尻さんは「人間が害虫と呼ぶ虫も、何らかの役割を持って存在している。大切なのは山を資源として見直すこと。枯死した木々を確実に有効利用していけば、カシナガの拡散、被害の拡大は防げる」と力説する。


同じカテゴリー(杣人)の記事
リスのまとい
リスのまとい(2015-03-30 08:08)

金原明善の生涯
金原明善の生涯(2015-01-14 00:00)


この記事へのコメント
ミズナラ、コナラ林は伐採された跡にできる。二次林で自然林じゃあないです。明治から昭和の初めまで焼畑とか、炭焼きとかに利用されていた森だと思う。
その前は、草原と赤松が多かったはず。
植生図や明治時代の迅速測図を見るとそこら辺がはっきりわかると思う。
森林が成長して、害虫に都合がよい状態が偶々出来てしまったのだと思う。
リセットするために、伐採とか焼畑とかしてみれば、元に戻るかもしれない。
Posted by なる at 2010年11月09日 14:38
 なる様 コメントありがとうございます。薪とか炭焼きをやめちゃった人間の責任が大きいのでしょうね。山にとって人間が「カシナガ」ですね。
Posted by cho8cho8 at 2010年11月09日 16:13
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
ナラ枯れ
    コメント(2)