日本企業による海外植林
杣人の会 特別会員の小嶋睦雄先生から、
「外国資本による森林買収に関する調査の結果について」のカウンターパートのお話をいただいたので、以下に転載します。日本の企業は海外で約64.5万haの植林をしているようです。静岡県の面積約77.8万haの83%です。民間資本に国境はないですね。
=====転載はじめ=====
杣人の会の皆様
表記の件、私も朝日新聞の記事(5月12日朝刊)で確認しました。
日本人として、何となく心にひっかる「森林買収」ですね。
では、日本人は、日本の企業は、海外の森林を、植林対象地を、植林予備地を「買収」していないのでしょうか。
是非、
(社)海外産業植林センターJOPPのHPを除いて下さい。さらに、我が国を代表する製紙会社のHPを覗いて見てください。
ちなみに 2006年末現在、製紙会社、大手商社、電力会社、印刷会社等が、国内企業との合弁、海外企業との合弁形式で、牧草地、灌木地、伐採跡地、荒廃地等で大規模植林していますし、その面積たるや、過去10年間の日本での森林買収600と比べられないほどの面積です。
日本企業による海外植林面積
オーストラリア 120.8千ha
ニュージランド 12.1千ha
中南米 113.1千ha
その他 50.7千ha
チッププロジェクト計 296.7千ha
パルププロジェクト計 348.8千ha (ブラジル、ニュージランド、インドネシア)
合計 645.5千ha
また、木材工業計の企業も建築系材料林確保を目的に投資、森林経営に乗り出しています。
私自身、2009年でしたか、オーストラリアSW州の、ユーカリの大規模造林地=平地林、元牧草地を調査してきました。(簡単なヒアリングと見学研修に終わりましたが、その造林地は圧巻でした)
以上、ナショナリズムを発揮する心を、私自身、少なからず持ち合わせています。が、確認しなければならないのは、その目的が森林と森林社会の持続可能性を担保できるシステムを構築しているか、いこうとしているのか でしょうか。
世界の視点から、木材・木製品及び水は需給バランスが崩れていることは確かであり、「国境」は見えなくなりつつあるのかもしれません。すでに我が国では木材の総合自給率は、回復傾向にあるとはいえ、3割未満です。食料はカロリーベースで4割です。
日本の「食」と「住」は世界の資源と供給に左右されていることを確認した上で、「杣人の会」「円卓会議」の活動を検討、実践していくことになるのでしょうね。
少々、愚痴になりました。
小嶋 睦雄
=====転載おわり=====
ご参考
・社団法人海外産業植林センターHP
・日本企業の海外産業植林プロジェクト植林面積(2006年末)
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